事例詳細
Case 102
client :自治体・建設コンサルタント 様
建設後50年を経たトンネルの急増。放置できないリスクと「点検の限界」
日本の高度経済成長期に整備されたトンネルの多くが、今、建設後50年以上という大きな節目を迎えています。インフラの老朽化は一刻の猶予も許されない状況にありますが、その点検現場には特有の深刻な課題が横たわっています。
1. 放置が招く「重大事故」の懸念と社会的責任
トンネル内壁のひび割れや剥離、漏水などの変状は、放置すれば崩落や交通切断といった重大な事故に直結しかねません。「5年に1度の近接目視点検」が義務付けられる中、膨大な数の老朽化施設をいかに正確に、かつ効率的に診断し続けるかが、地域の安全を守る上での最優先課題となっています。
2. 漆黒の暗闇と電波の遮断。過酷な「現場環境」
トンネル内部は日光が届かない暗闇であり、GPSも届かない場所も多く、電波も遮断される特殊な環境です。従来のアナログな調査では、「今、トンネルのどの地点を撮影しているのか」を特定するために、壁面の距離標を一つひとつ確認し、紙の野帳(手帳)とデジカメを併用しながら手書きでメモを執る必要があり、膨大な時間と手間を要していました。
3. 写真と「正確な位置」を紐付ける難易度の高さ
一箇所につき数十枚、全体で数千枚に及ぶひび割れや漏水の写真。似たような光景が続くトンネル内では、事務所に戻ってから「この損傷写真は、入口から何メートルの地点か」をメモと照合しながら特定・整理する作業は困難を極めます。一つの記録ミスが診断結果を左右するため、現場での確認作業には過度な神経と時間が費やされてきました。
4. 「過去の損傷」との比較が困難な分断データ
これまでの点検記録が紙の図面や写真台帳として分断されており、通信が使えない現場には過去の分厚い資料を持ち込むこともできず、「5年前のひび割れと比べて、どれくらい進行したか」を即座に判断する術がありませんでした。連続性のないデータは、設備の寿命を予測し、適切な補修計画を立てるための足かせとなっていました。
「位置」の迷いをゼロに。データ連携で変状を捉えるトンネル点検の新基準
暗闇の中で似たような光景が続くトンネル点検において、「REPORT&SHARE」は位置情報の特定と、過去データとの照合プロセスを劇的に簡略化しました。
1. 事前の「ピン配置・図面化」で位置特定を確実に
GPSの使えない環境でも、あらかじめ距離標(ナンバー)をCSVで一括インポートしてピンを立てておくことや、背景地図をトンネル図面(タイルデータ)に切り替えることが可能です。距離標を探して手書きメモを執る必要がなく、「画面上の該当するピンをタップして写真を投稿する」だけで、正確な位置と損傷記録が即座に紐付きます。
2. 前回の点検結果を「その場で透かす」比較診断
過去の点検データ(CSV等)を、現在の画面にレイヤーとして重ね合わせることが可能です。暗い現場内でも、タブレット上で「5年前の損傷ピン」と「現在の目の前の壁」をインタラクティブに確認できるため、変状の進行をその場で科学的に診断できます。これにより、単なる記録作業を、質の高い「劣化予測」へと引き上げます。
3. 入力フォームの標準化で、現場の「見立て」を定量データに
「ひび割れ幅」や「漏水の状態」など、必要な点検項目をあらかじめ選択式ボタンや数値入力フォームとして固定できます。事務所に戻ってから「この写真はどの程度のクラックだったか」と思い出す時間は不要です。点検者が現場で感じた「違和感」や「判断」を、主観に頼らない均質な「構造化データ」として確実に定着させます。
4. 調査完了と同時に「CAD・Excel連携データ」が完成
現場での入力データは、座標情報を持ったままCSV等で一括書き出し可能です。GISやCADでの解析への展開がスムーズに行えるほか、専用のExcelマクロを活用すれば自治体指定の報告書フォーマットへの自動転記も可能になり、「現場で撮り、事務所で整理し直す」という二重作業を根絶。解析や補修設計といった本来の業務に即座に移行できる環境を整えます。
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